テーラー東洋は前身の「港商」の時代からスカジャンを作り続け、過去の製品がいまや「ヴィンテージ」として評価されている。本作は、数多く寄せられたお客様からのリクエストにお応えし、1990年代にテーラー東洋が手がけたスカジャンを約30年ぶりに現在の技術で再復刻。ワインカラーのボディに映えるオレンジのグラデーションで描写された鷲の刺繍は秀逸で、多色のリブが全体のバランスを引き締めている。
リバーシブル面は、身頃より袖下の色の方が濃いシルバー×ネイビーの「逆配色」ボディに、猛々しく吼えるブルータイガーが映える。光沢のあるレーヨン糸の特徴を生かし、針足を複雑に変えて刺繍を重ね、立体感と陰影によって単色でありながら虎の毛並みや縞模様を表現。表面同様、4色のカラフルなリブがアクセントとなっている。
ACETATE SOUVENIR JACKET
スーベニアジャケットのなかで最もスタンダードな両面にアセテート生地を使ったリバーシブルタイプ。戦後当時のスカジャンには、シルクに似た高級感を持つ物資統制外品目のアセテートが使われていた。中綿がないため季節を問わず着用でき、独特なドレープ感も魅力といえる。
スーベニアジャケット(スカジャン)とは戦後間もない頃、米兵が日本駐留の記念としてオリエンタルな柄(鷲・虎・龍)や所属していた部隊、基地名などを自分たちのジャケットに刺繍したのが始まりである。それらは土産物として商品化され、各地のPX(Post Exchangeの略で米軍基地内の売店の通称)で販売されるようになった。当時、このスーベニアジャケットをはじめとした衣料品を米軍基地へ納入していたのが、テーラー東洋(東洋エンタープライズ)の前身の会社「港商商会」であり、スーベニアジャケットの生産が全盛期となった1950年代には納入シェアの95パーセントを占めるほどであった。港商から始まり半世紀以上スーベニアジャケットを作り続けてきたTAILOR TOYO(テーラー東洋)。一過性のブームではなく、スカジャンを文化として継承し続けているこのブランドこそが、スカジャンのオリジナルである。
カテゴリー:
ファッション##メンズ##ジャケット・アウター##スカジャン